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【第三の人生】65の章:はじめての滝行は真冬の深夜

【第三の人生】
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*登場人物*

・萬里→主婦でお役目持ち。新たに能力を自覚したけど喜んでいいものか・・・最高気温10度以下、深夜の滝行は自殺行為。

・H氏(おじじ)→リーマン能力者(本物)流石に酷寒の滝は慣れるもんじゃないそうです。頭から岩が落ちても死ななさそう。

・理妃ちゃん→人妻能力者(本物)能力がピカイチなのだけど、どこか抜けてると言うか、萬里と一緒で不運の引き強い気がする。

 

 

 

 

H氏「眼で見えてるように
感じるでしょうが、

実際は
第三の眼で視てるんですよ。
サクヤさんの治療院で

勉強会の時
毎回、

目と目の間のおでこ辺りを
触ってましたよね?」

 

萬里「はい、

毎回やってましたよね。」

 

H氏「第三の眼を開く

お手伝いを
させていただいてました。
元々、開きかかって

たんですけど
完全な状態では

なかったので。
自覚できるように

なったならよかったです。」

 

萬里「今のが

視えるってことなら
前々から気のせいだと

思ってたことが
そうではなかったと

いうことが
萬里の中で完全に

確定してしまったですよね・・・。」

 

H氏「そうですね。

これで、今までよりは

明確に判断しやすくは
なりますね。」

 

萬里「まぁ、あんまり

嬉しくはないですが・・・。」

 

不意に自分が目で

視えていることを知る

今、開眼を自覚することが
出来たということは
滝行をするということが
重要な意味を持つことなんだと
思った

 

滝場に着いた
変に間を置くと
腰が引けそうなので

すぐに着替える

身体は塩洗いのおかげで
まだポカポカしているし
山の中で、人一人居ない

車の外で堂々と

着替えをしてみる
なんとも言えない解放感~

などと

楽しんでる場合では

ないのだが
ドキドキで

もう逃げられない気持ちを
少しでもごまかしたい空気

 

理妃ちゃんと萬里は白い滝衣
H氏は海パン一丁

海パンは白でなくてもいいのねw

滝壺に御神酒と御塩を撒き
手を合わせる
『これから入らせていただきます。
受け入れていただき

ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。』

 

H氏「今から入りますが
足元が悪いので

ゆっくり気を付けて
入ってくださいね。
私が先頭を行きますから。」

 

実は三人とも超ド近眼
灯りがあったとしても
足元はほぼ見えない

柵の中は立ち入り禁止なので
石はゴロゴロ葉っぱは山積み

高さはそれほどなくても
萬里らにとっては

かなり危険な断崖絶壁級

 

H氏に続き

下に降りようとすると
理妃ちゃん

足元の石につまづき
でかい石がゴロゴロと

H氏に向かって
転がり落ちていく

 

H氏「うわぁ~
気を付けてくださいね~!」

 

萬里「理妃ちゃん!

暗闇に紛れて殺る気やろ?」

 

理妃ちゃん「すいません!
ぜんぜん見えない~!」

 

萬里「わざとだわざと~」

 

理妃ちゃん「ちがうちがう~」

 

とかなんとか
はしゃぎながら

降りてはいくが
そんな言葉が出るのも

水に浸かるまでの話

 

冷たいとか

寒いとか

痛いとか言う前に

身体が一気に麻痺する
水の温度

 

H氏「滝の流れの下

滝壺に立ってて
大丈夫ですよ。

膝まで浸かって立ったまま
お伝えされる御言葉を全部
受け取ってください、

一言一句逃さずに。」

 

萬里「はぁ~?!

そんな余裕無いんですけど?!」

ガタガタ震えている

 

H氏「集中してください。
精神統一して聞きとって下さい。
聞き取り終えたら

上がっても大丈夫ですから。」

 

スペース的に滝の下は
理妃ちゃんと

萬里2人が立つのがやっと

 

萬里「H氏はどこで

浴びるんですか?」

 

H氏「私は腰まで浸かれ

と指示が出ているので
下流で座ります、

毎回そうなんで。」

 

萬里「ひざ下だけしか

浸かってないのに

しぶきが身体にかかるのも
息が出来ない冷たさなのに
腰までとか考えられん
それも慣れですか?」

 

H氏「慣れませんよ。
完全にマヒしてるだけです。」

 

極限の寒さの中

どうでもいいやり取りを

しばらくしていたのだけど

不意に精神集中の時が訪れる
皆黙って目を瞑る

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