玉です。
唐突ですが、玉藻前(たまものまえ)という妖怪がいます(笑)
玉藻前とは、一言で言うと「九尾の狐」。
中国に端を発し、長い年月、人間を惑わしてきた妖怪とも、神獣とも言われています。
基本は美女に化けて権力者を謀り、悪事の限りを尽くしてきた九尾の狐。
後に、少女に化けて吉備真備の遣唐使船に乗り込み、ちゃっかり日本に渡ってきたとのこと(そこは空を飛べよ笑)
日本の『絵本三国妖婦伝』では、藻女(みくずめ)という女性に成りすまし、18歳で宮中で仕えたと書かれており、後に鳥羽上皇に仕える女官となって玉藻前(たまものまえ)と呼ばれます。
その美貌と博識さから、次第に鳥羽上皇に寵愛されますが、陰陽師・安倍泰成が玉藻前を九尾の狐だと見抜きます。
陰陽師が真言を唱えると、玉藻前は変身を解かれて宮中を脱走。行方を眩ましました。
その後、那須野(現在の栃木県)で婦女子をさらうなどの噂が宮中へ伝わり、鳥羽上皇は8万余りの玉藻前討伐軍を那須野へと送り込みます。
九尾の狐だけに8万の兵とは…よほど恐ろしい妖怪だったのでしょう(笑)
既に九尾の狐と化した玉藻前を発見した討伐軍は、すぐさま攻撃を開始。
しかし、九尾の狐の術などによって多くの戦力を失い、攻撃は失敗に終わりました。
三浦介義明と上総介広常をはじめとする将たちは、犬の尾を狐に見立てて騎射を訓練し、再び攻撃を開始します(術でやられたのに、なぜ騎射を鍛える?笑)。
対策を十分に練ったため、討伐軍は次第に九尾の狐を追い込み、三浦介が放った二つの矢が脇腹と首筋を貫き、上総介の長刀が斬りつけたことで、九尾の狐は息絶えたといいます(やはり妖術も、軍事力には敵わないんですね)。
中国、ベトナム、朝鮮、日本というアジア諸国では、権力者を惑わす「九尾の狐」の伝承が多々あり、しかも女性に化けて近づくという共通点があります。
何かの逸話がモデルになったのかもしれませんが、いつの世も権力者を惑わす「獅子身中の虫」は、楊貴妃やクレオパトラをはじめ、そのようなものなのでしょう。
そう言えば、秀吉の妾で、最期まで徳川家康と戦った淀君も、「女狐」と呼ばれていましたね。