〜萬里は祈祷師シリーズはノンフィクションですが、第五の人生は7年以上前の話から始まっています〜
*登場人物*
- 萬里→祈祷師ですが、生活のためにバイトに行ってます。ついに、鬱と診断受けて心療内科へ通院することになりました。そんな時に限って小学校の役員まで任されています。
- ダーリン→そんな呼び方したこともないけど、萬里の2番目の旦那様。
- あやぱん→萬里の成長を見続けてきてくれてる、同じ歳の女子。何かあった時、何もなくても、駆けつけてきてくれる、適度な距離感で心地良いを作り出してくれる友人。
自分の身体も頭も思うように動かない。
周囲に促され心療内科へ行ったが、結果は完全なる『鬱』
その現実と事実を受け入れるのには、まだ時間がかかりそうだけど、少しでも早く元の自分に戻りたい!
以前の、トラウマレベルに対応の悪い心療内科の先生と比べたら、この病院の穏やかな先生なら信頼できると思ったから、通院することにした。
この先生は、初診の日だけでなく、毎回目を見て急かさずにしっかりと話を聞いてくれた。
どんな先生だろうとやっぱり、心療内科で処方される薬自体に抵抗が強かった。
心療内科の治療とは、ほぼどこも同じ。先生は患者の話を聞いて、応じた薬を出す。
その副作用や効き具合を確認しながら、一番最適だと思う薬を探す。
飲んでみて、効果を自分自身が判断して報告、継続したり、違う薬に変えてもらったりをひたすら繰り返すんだけど、精神疾患の治療って、とにかく副作用との戦いである。
どこの精神科も治療法は一緒なら、やっぱり重要になるのは、先生の人柄ってことになるよね。
元々まともな睡眠が取れていなかったことも、状態を悪くしているらしいんで、きちんと寝ることを重視したいからと『睡眠導入剤』もある。
萬里の睡眠時間は、そもそもがお仕事の時間(幽体浮遊)なんだけど、薬を飲んで寝ても仕事はできるんだろうか?
でも、そんな毎日で脳が休まる時がなくて、こんな状態になってるのかもしれないから、薬を使ってでもしっかりと熟睡することは大事なのかもしれない。
現実の自分がどんな状態であろうと、あの世の仕事は待ってくれるわけではない。多少は後ろの方々が采配してくれるのかもしれないけど、やるべきことは次から次に訪れるんだから、後回しにすればその分、しわ寄せがキツくなるのは目に見えてる。
もう、あまり考えないようにしよう、どっちにしろ目の前のことをやるのが精一杯。
こんな時に限って、娘の学校の役員だったり、仕事が忙しかったり、わざとなのか?!と思うくらいリラックスした時間は持てない。
「鬱」と診断されたことがどういうことなのか?ダーリンには分からないかもしれない。
以前2年近く仕事に行けなくなったダーリンは、病院へ通うことなく「自分は鬱だ!」と主張し、あれもできないこれもできないと側から見たら「できない理由のために鬱を主張している」ようにも見えた。
本人がそう言うのならと、家族は黙って復帰できるまで支えてきたのだけれど、自分以外の家族が『鬱』と診断を受けたのならどうするのだろう?
子供の世話、学校のこと、家事、仕事、全てを今までのようにこなすことが難しい状況、家族ならもちろん協力し合って、改善に向けた治療のサポートをしてくれるはず。
萬里の状態を知っておいてほしいので、病院へ行って先生から状況や話を聞いてきてほしいとお願いした。
あの先生なら、萬里が過ごしやすいように助言をしてくれるはずだから。
病院から帰宅した第一声
ダ「話聞きに行っただけなのに、なんで俺まで診察代取られないかんと?納得いかんのやけど。」
萬里「そりゃ、病院やし、先生の時間を割いてもらうんやから、初診料なり何なりは最低限取られるもんやないと?」
ダ「別に病院行って聞かんでも、お前から話聞いても同じことやん。」
萬里「私自体が今までみたいにスムーズに話すことができんから、行ってきてくれって頼んだんやん?それに鬱がどういうものかなんか、知らんやろ?」
ダ「俺も鬱にはなったことあるけん、知っとる。」
萬里「病院行って鬱の診断受けたんやったっけ?」
ダ「いいや、診断受けんでも、そんなん自分でわかるやろ。」
こんなつまらんやり取りしてる時点で、鬱がどういうものか理解できてない。
鬱だということに自分では気付けなかったし、まさか自分が鬱だなんてありえないと思っていた、さらには鬱であって欲しくなかったのが萬里の本音だから。
鬱っぽい、鬱かもしれない、鬱みたいな状態=これは鬱ではない
鬱を理由に、やるべきことをやりたくない時の理由ではないのか?!鬱であって欲しい自分の状態を認めてもらいに病院へ行っても、実際には「鬱」という診断はほぼ出ない。
だから自称鬱を名乗りたい人は、心療内科や精神科での診察をきちんと受けないのかもしれない。
その原理がよくわかった。
ダーリンは行きつけの内科で出せる範囲の「安定剤」や「睡眠導入剤」を飲んでいただけだもんな。
家庭内での協力は得られないことを悟った。萬里の負担は何も変わらない。
子供達は純粋に心配しているけど、何をどうすればいいのかなんて分からないと思うし、手伝って欲しいことがある時だけお願いしようと思う。
ダーリンよりも気にかけてくれてる分、子供たちの方がよっぽど頼りになる気がする。
薬の副作用で、朝から眠気が酷かったり、昼間のテンションがおかしくなったり、自分の行動と感情を自分ではコントロールできない。
普通の顔して、普通を装うことを保つのに必死。そして、いつまで経っても、頭の中の霧が晴れることはなかった。
あれこれ薬を変えて試してはいるけど、一番キツかったのはこれまでなかった酷い便秘。
心療内科の薬を飲み始めてから、腸が動いてないのがハッキリわかる。
下剤を処方されたけど、その性質もまちまちで、どれが自分に一番適してて、その量がちょうどいいのか?適量がわからないまま数ヶ月経った頃、恒例の『嘔吐下痢』に見舞われた。
萬里の嘔吐下痢は、毎度尋常じゃない回数で、数時間で脱水に陥り、意識が遠のく。
薬の影響もあるかもしれないけど、夜から嘔吐下痢し続けて動けなくなっているにも関わらず、朝まで放置。
ダーリンは「また、いつもの?」みたいな反応で、知らん顔して仕事に出ていく。
「病院に連れて行こうか?」の一言もない。
もう、アテにはしていないから、あやぱんに連絡したらちょうど休みだったので、病院へ連れて行ってもらうことにした。
いつも、迷惑かけて申し訳ない、せっかくの休みを潰してしまって。
事情は知ってるから、色々聞くこともしないし、黙って付き添ってくれてる。
看護師さんは、こんな酷い状態がそんな度々起こるの?!かわいそうに・・・と、点滴を打ちながら頻繁に起こるこの状態を驚いていた。
慣れてはいるけど、精神やられてる上にこの状態(嘔吐下痢)は、さらにメンタルが落ちる。
自宅に帰っても、水分を摂りながら寝てることしかできない。
一週間くらいは何も食べれない状態が続くの覚悟だから、嘔吐にも下痢にも対応できるよう水分をひたすら摂るしかない。
こんな時に限って、用事がない限り滅多に電話なんかしてこない母が電話をしてきた。
母の声を聞いた途端、我慢していた感情が爆発した、今までどんなに苦しい目に遭っても、頭の片隅にもなかった言葉が思わず口を突いて出た。
萬里「キツイ、もう何もかもがキツすぎる、死にたい。ほんとに全て終わらせたい!」
多分、母も初めて聞いたんじゃなかろうか、萬里のそんな弱気な言葉。
母は、しばらく黙って
母「なんもせんでいい。がんばらんでいいけん。とにかくゆっくりしときなさい。必要な時はなんでも協力するけん、どうしようもなくなったら電話しておいで。」
たいして気の利いた事は言わない、でもその言葉に色々込められてるのは分かった。
なんで死にたいとか言っちゃったんだろう・・・。今までそんなこと考えたこともなかったのに、スルッと口にした自分が嫌になった。
それを聞いた家族はどんな気持ちだろうか、言ってしまったことをすぐに後悔した。
でも、心の底からそう思ったのは確か。
いつもなら子供のことや周囲のことを優先的に考えて、絶対に口にしない言葉のはずなのに、それを言葉にした時は何も考えられず、本当に自分のことだけしか考えられなかった。
これが脳の病気なんだな・・・。
♪いつも読んでいただきありがとうございます♬
フムフム、そんなこともあるんだ〜!まぁ、なんやわからんけど頑張ってくれたまえ!!